-->

掲載日付:2022.12.04

カテゴリ:[ 病院行事 報告 ]

100歳のお誕生日会

12月3日 当院で100歳のお誕生日を迎えられた患者さまがいた。誕生日より少し前に当院に感染症で入院された。もともと生活されている施設ではお誕生日会を盛大に準備されているとのことで、なんとか誕生日には戻っていただこうと完璧に治療して戻ったにもかかわらず、数日でまた発熱で入院されてしまった。誕生日にはもう帰れない。にわかに、私たちが誕生日会を準備しなくては・・・ということになった。患者さんの体調も整えなくてならないし、飾り付けの準備、プレゼントの準備、家族にきていただく調整、ギターを添えた歌のプログラムなど2-3日でのにわか準備。日々の忙しい業務のなか、だれが指示するでもなくスタッフは折り紙などを持ち寄り仕事を終えてから飾り付けを作る。昔の工作を思い出した。リハビリのかたはこういうのが得意で、協力してくれた。
当日はたった30分ではあったが、患者さんの体調もよく(直前に吸入などして体調を整えたが)、息子さん2人が病院にきてくださった。ピンクのだるまをもって。本人はとてもご機嫌で、ピースサインだけではなく逆ピースサインもして写真におさまっていた。皆が歌を歌っていたときには、出されたフルーツポンチゼリーをばくばく食べて平らげていた。この食欲こそが元気の源であると思う。
ご本人が挨拶することはないと思い、プログラムにいれていなかったが、本人にふってみるとなんと本人が話始めた。盛大に祝ってくれてうれしいということを述べ、自らの言葉で105歳まで生きるのだといわれた。そして古い長唄のような歌を5分くらい歌った。30分座っていて最後に歌を歌うのだからすごい。
コロナによりこのような催しができなくなっていたが、久しぶりに感動的なよい会だった。本人も家族もうれしそうな表情をされていたし、準備した我々も幸せな気持ちになった。
100年 部品を交換しないで動き続ける機械はない。お金をどんなにつんでも、100歳までいきる保証をえることはできない。100年も一つ一つの細胞が古くなり再生したりはしてもまた互いに協力しあいながら臓器を形作り動かし続けていること、それだけでもミラクルなことだと思うのです。
今日は100歳の患者さまから幸せと元気をもらいました。患者さん家族の許可をえて写真をのせます。

掲載日付:2022.12.02

カテゴリ:[ 江里名誉院長 / 心の言葉 ]

チャンスを失わないために

朝の朝礼で院長の話す時間をもらっています。せっかくスタッフが朝の忙しい時間に集まるのですから、短く10分以内で心になにか残る話をするようにこころがけています。この日はチャンスの話をしました。歴史の本に紹介されいた話を引用しました。

ギリシャ神話の全能の神ゼウスの末子カイロスが<チャンスの神様>なのだそうです。この神様は前髪はあるが後髪がなく、だれの前にも平等に姿を現すけれど、両肩両足には翼がついていて、疾風のごとく一瞬で駆け抜けていく。その一瞬をとらえ彼を捕まえることができればそのひとには幸運がもたらされます

。しかし、それは彼の前髪をつかめたときのみ。彼が目の前を去ったときに、後頭部が光ってよく目立つのでここでほとんどの人が目の前に幸運が訪れていたことに気づきます。でもそのときには彼をつかまえることはできません。はげた後頭部は滑って捕まえられない。そして人は悔しそうにいいます。あ~惜しかった。もう少しでチャンスを手にいれることができたのに・・・。でもこういう人は、次もまたその次もチャンスを取り逃すことになるのです。これは逃すべくして逃したのです。不遇になる人とはチャンスが巡ってこなかったのではなく、チャンスを逃してきた人なのです。
 チャンスは<チャンス>と書かれて目の前にくるわけではありません。面倒くさい仕事、いやな仕事、期待していたのと違う仕事、いずれもこれがチャンスになるかどうかわからないものです。しかしこれらの仕事が、自分の能力をのばしたり、新しい人間関係ができたり、チャンスにつながることもあるのです。ですからまずは与えられた目の前の仕事を懸命にすることが大切です。またなにか得たいと思ったら、人一倍の準備をして待つそれも大切です。サッカーワールドカップの日本チームがドイツやスペイン戦での守りを必死で行い、チャンスを待ち、少ないチャンスがきたと思ったら攻撃を積極的にしかける。これもそのたとえです。
 参考文献:最強の教訓! 世界史   神野正史著

掲載日付:2022.12.21

カテゴリ:[ 内科 / 医療情報  ]

発作性の高血圧をきたす疾患 褐色細胞腫 1

冬になり血圧が急激に上昇するし相談をうけることがあります。しかし発作性に200mmHgちかい高血圧をきたす時には2次性の高血圧、ほかの病気が隠れていないか検査をすすめます。発作性に急に血圧が高くなる病気に褐色細胞腫があります。これは副腎髄質にできる腫瘍の一つですが副腎以外の傍神経節にできることもあり、副腎にできるものを褐色細胞腫、傍神経節にできるものをパラガングリオーマとよび、神経内分泌腫瘍として知られています。ドパミン、アドレナリンなど血圧に影響するホルモンを産生するため、症状として、高血圧,動悸,頻脈,胸痛,頭痛などをきたしますが無症状の人もいます。CTでたまたまみつかる人もいて偶発的にCTでみつかった副腎腫瘍の5-10%は褐色細胞腫であるといわれています。
また血圧だけではなく、血糖が高くなることもあります。体重が減少することもあります。(これは知らなかった・・・)
高血圧は発作型,持続型,混合型があり、高血圧を誘発するものとして、食事、排尿のほかにも麻酔、造影剤、薬(β遮断薬、メトクロプラミド,三環系抗うつ薬)などが知られています。その他の症状として、心筋梗塞,不整脈,タコツボ心筋症,高血圧性脳症,脳血管疾患による突然死,心不全などもあります.これらの症状で患者さんがきたときに著明な高血圧があるときには、褐色細胞腫を鑑別する必要があります。
日本ではどのくらいのかたがこの病気なのか、次回の記事でご紹介します。
  参考:日本内分泌学会 褐色細胞腫 
     褐色細胞腫・パラガングリノーマ 診療ガイドライン2018 

掲載日付:2022.12.21

カテゴリ:[ 内科 / 医療情報  ]

発作性の高血圧をきたす病気 褐色細胞腫2 日本のデータ

さて日本ではこのまれとされる褐色細胞腫はどのくらいの患者数がいるのでしょうか。
褐色細胞腫 パラガングリノーマ診療ガイドライン2018年からのデータです。

● 平成 21 年度に実施された全国疫学調査推定患者数は良性 2,600 例,悪性 320 例である.
● 男女差なく推定発症平均年齢は 40 ~ 45 歳であるが幅広い年齢層に分布する.
● 症候性(高血圧あり)は約 65%,無症候性は約 35% で,副腎偶発腫瘍としても発見される.
● 副腎外,両側性,悪性は各々約 10%,家族歴のあるものは約 5% である

この褐色細胞腫は原因として複数の遺伝子胚細胞変異が報告されており、これらは遺伝することが示されていますが、すべての褐色細胞腫が遺伝性ではなく、弧発例(遺伝のないもの)の方が多数を占めます。MEN2型やvon Hippel Lindau病は、遺伝性褐色細胞腫を呈するものとして古くから知られていますが、近年、家族性パラガングリオーマの原因としてコハク酸脱水素酵素(SDH)サブユニットの変異が報告され、中でもSDHBは悪性度との関連が強く注目されています。MEN2型は甲状腺髄様癌・副腎褐色細胞腫・副甲状腺腫瘍のうち2つを発症した場合に診断され、RET遺伝子がその原因遺伝子と言われています。von Hippel Lindau(フォンヒッペルリンドウ)病とはVHLという遺伝子の異常により複数の腫瘍を生じる病気で、主には網膜血管腫、小脳や脊髄の血管芽腫、腎細胞癌、副腎褐色細胞腫、膵腫瘍などをおこす家族性の疾患です。褐色細胞腫がわかったときには、エコーで甲状腺や副甲状腺の検索、腎臓や頭部MRIの検査、家族の悪性疾患の病歴を確認します。


掲載日付:2022.12.21

カテゴリ:[ 内科 / 医療情報  ]

発作性の高血圧をきたす病気 褐色細胞腫3 診断のための検査

診断のためのホルモンの検査
スクリーニング検査として尿と採血で特殊な検査を行います。

● まず外来で実施可能な血中カテコールアミン分画(正常上限の 3 倍以上ないしアドレナリンとノルアドレナリンの和≧ 2,000 pg/mL これは診断精度98%),随時尿中メタネフリン分画(メタネフリン,ノルメタネフリン)(正常上限の 3 倍以上または 500 ng/mg・Cr 以上)の増加を確認します。ただし発作性の人では正常のこともあり、正常であれば否定できるわけではありません。繰り返し検査が必要です。

それが陽性だったら24時間蓄尿をして
● 24 時間尿中カテコールアミン(正常上限の 2 倍以上),24 時間尿中総メタネフリン分画(正常上限の 3 倍以上 1.8㎎/日以上 )の増加を確認します。

ただしこれらの採血、尿検査は様々なことで影響をうけて値が変わります。
できれば空腹時で少なくとも 20 分以上の安静臥床後に前腕の血管で留置針を用いて採血するのが望ましいですが外来では可能な限り安静座位とし標準的な静脈穿刺採血を行います。
カテコールアミン含有量の多い食物も値に影響を与えます。バナナ,フルーツジュース,ナッツ類,トマト,ポテト,豆類,カフェイン含有のコーヒー,チラミン含有のバニラアイス,バニラを含む菓子,チーズ,赤ワインなどの摂取を控える必要があります。(バニラ、チーズなどは知りませんでした!)また一部の薬剤(3環系抗うつ剤、レポドパ、メトクロプラミドなど)は可能な限り中止して採血を行うのがよいです。
ほとんどの降圧薬は測定に影響しないとされます。

参考: 褐色細胞腫、パラガングリオーマ 診療ガイドライン2018



menu close

スマートフォン用メニュー