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掲載日付:2020.05.14

カテゴリ:[ 新型コロナウイルス感染症 / 内科 / 医療情報  ]

新型コロナウイルス感染症 剖検結果 腎臓との親和性

新型コロナウイルス感染症では死亡された症例を解剖することは少ないが、それを行ってどこにウイルスが存在するのか研究した論文がだされた。ドイツのハンブルグの大学病院からの報告。

DOI: 10.1056/NEJMc2011400

まず新型コロナウイルス感染症にて死亡された22例の剖検例から、ウイルスがどの臓器を好んで広がっていたか検査が行われた。肺、咽頭はウイルス量も多く、通常ウイルスが検出されたが、呼吸器系以外にも検出された人は全体の77%を認め、心臓、腎臓、肝臓、脳、血液にて認められた。呼吸器系だけでなく多臓器を好むということである。中でも腎臓で検出された例が多かった。糸球体の上皮、内皮、尿細管にウイルス蛋白が認められ、もともと腎機能障害がない人でも認められていた。

 その他のこれまで論文でも、尿検査で異常が指摘される症例が75.4%にまで及ぶという報告があり、中でも腎臓にウイルスが広がっている症例では予後が悪いことが示されている。

掲載日付:2020.05.28

カテゴリ:[ 内科 / 医療情報  ]

新型コロナウイルス感染症  外出自粛から最近感じること

新型コロナウイルス感染症が落ち着き始めて非常事態宣言の解除もあり、人通りも道路の車も増えたなと感じます。病院はどこも外来患者さんが減っているとききます。私の外来も減っています。今後戻るのかというと私は、今後も完全には戻らないのではないかという気がします。外来はある意味高齢者の人にとって外出をさせるための機会であったりそして自分の体に大丈夫だよと安心するための場であり、それも大切なことではあったとは思います。今はコロナ怖いが先で病院は控えているというかたのほうが多いのですが、その安心の場がないとだんだん不安が募る人がいるのも事実です。
最近の外来患者さんで思うのは、長期の自粛に伴い、またメデイアで流されるマイナス情報が不安にどうしても感じてしまうためか、不安とともに身体症状(つまり、だるい、頭痛、食事がとれない、動悸、ふらふらするなど・・)を訴えてくる人が少なくないということです。検査しても大きなデータ異常はありません。お話しをきくと、やはりもともとやや不安神経質的なかたが普段から緊張を強いられている状態が関係していると思います。またもともと家族仲が悪い、夫婦仲がよくないかたが、この自粛で顔をあわせていることが多くなり、つらいと訴えてくるかたもいます。現代社会が人が家で長時間生活をともにするというスタイルになっていないことも関係していると感じます。非常事態宣言解除はこういう精神面ではぎりぎりのタイミング(これ以上長いと精神的に症状がでるかたがもっと増える)であったかもしれません。

掲載日付:2020.05.27

カテゴリ:[ 病院行事 報告 ]

オンライン公開講座 大成功

今回の新型コロナウイルス感染症で、私たち医療機関のマーケテイング戦略も見直しをせまられている。公開講座は患者さんへの医療情報の提供とともに私たちの病院を知ってもらう大切な役目をしているが、感染防止のために休止を余儀なくされているし、今後も開始は難しいと感じていたが、オンラインでやってみようと提案したのが5月連休あけてからのことで、そこからシュミレーションをして、協力者を集めて、zoomの準備して、広告うって、5/26火曜日本番、いつもの公開講座よりも多くのかたにみてもらえて、講演したスタッフもとても喜んでいたし自信がもてたようです。資料が配れないことや、ネットなどが苦手な人に対してどうしていくかという問題などもありますが、まずやってみてみなさんからの意見をききながら少しずついいものにしていけたらと思います。まだまだ続きます。ご期待ください。

掲載日付:2020.05.26

カテゴリ:[ 新型コロナウイルス感染症 / 内科 / 医療情報  ]

新型コロナウイルス感染症 これから暑いけどマスクは本当に有効か

飛沫のもとである唾液に新型コロナウイルスが存在する。それは発症している患者さんにも、無症状の患者さんでも認められて、それが3密を控えるべきであるといわれるゆえんである。NHKの番組でも唾液を可視化してどのくらい飛沫して浮遊するかという場面をみせてくれていたが録画してなかったのでしておけばよかったと後悔。ところが有名な医学雑誌The New England journal of medicineにビデオつきの投稿があり、これが同様にマスクをしたときとしない時、そして大声で話したときと小声の時とで、口の中からの飛沫がどのくらい飛ぶかをレーザー光で可視化してみせてくれている。画面は小さいのだが暗い中でみると参考になります。Stay Healthy と発声すると20 ー500 μm の大きさの水滴が発生します。やはりマスクしないほうが周囲へは飛ばないのですよ。それから大きな声だともっととびます。ほかの論文にはそれらが8分間浮遊すると述べているものもあります。そしてくしゃみだけでなくてもこのくらいの大声で唾液が飛ぶのかと驚きます。大声で笑えばもっとのはずです。しばらくは公衆免疫ができるまではマスクは世界的に必要なのでしょうか。しかし暑くなってきて本当に大変。夏の寝苦しいときに使う生地を使って夏用マスクを早く販売していただきたいです。また高齢者のかたで耳がきこえないかた、どうしても近くで大声で話すことが増えます。これも拡声器などでなんとかならないか、しゃべるながら大きな画面に字がでるとかなんとかならないか・・・と普段の診療で思っています。

以下のアドレスをいれると英語ですが論文と画像がみられます。

The New England journal of medicine. 2020 05 21;382(21);2061-2063.

doi: 10.1056/NEJMc2007800

掲載日付:2020.05.22

カテゴリ:[ 新型コロナウイルス感染症 / 内科 / 医療情報  / 血液疾患 ]

新型コロナウイルス感染症  小児の急性ITPの症例

新型コロナウイルス感染症の感染そのものでなく、それに関連する免疫的な疾患の報告がみられる。血液疾患として頻度の高いITP(immune thrombocytopenic purpura)は急性の発症をする場合と慢性的に徐々に血小板が低下する場合とに分かれるが、小児では急性発症が多く小児のITPの2/3は先に感染症がおきているといわれている。その原因菌としてはサイトメガロウイルス、EBウイルス、C型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、インフルエンザなどが知られているが、当然コロナウイルスもあるであろうと予想される。新型コロナウイルス感染症のあとにITPを発症した10歳の女児の報告が小児科の雑誌に報告された。(アメリカのロードアイランド州の大学病院からの報告)その女児は両側下腿、胸部、頸部に紫斑と思われる発疹が広がり口腔内にも紫斑がでて救急外来に受診したが、3週間前に2日間ほど全身倦怠感、咳、38度の発熱が新型コロナウイルスに暴露をうけたあとにみられ、その後は2.5週間ほど特に症状もなかった。(PCR検査はしていないのだと思われる)受診時には血小板数は5000/μL(普通は15-30万/μL) 5000程度となると自然に脳出血や消化管出血もおこしうる怖いレベルの血小板数である。そこで新型コロナウイルスのPCR検査をしたら陽性であったと(まだウイルスをもっていたのか?新感染なのか?)。大量のグロブリン投与を行い(1g/kg) 翌日退院(これがアメリカの医療だ! 日本なら当然入院継続!) 退院後は電話訪問で対応。48時間で紫斑が改善、熱が続き腹痛も続いたが大量グロブリンの副作用と考えられた。退院後2週間でのデータでは血小板数は32万/μLに回復したという。しかし一部の小児では慢性ITPに移行することもあるため注意深く観察する必要がある。

このように感染症のあとに急性に突然血小板が低下する急性ITPを起こすことがあるが、成人に多い慢性ITPの一部も感染症が関係することがある。今後半年、1年後にITPの報告がみられた時に新型コロナウイルス感染の既往があるか、問診できくように心にとめておこう。

DOI: 10.1542/peds.2020-1419


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