地域に必要とされる環境 地域のために、 困っている患者さんに対する入院診療と外来診療を提供するのは容易なことではない。 様々な症状、様々な疾患を机でいくら勉強しても、初めての経験の時には上手に対応することは難しい。 経験だけでもだめで、知識や技術やフィードバックを受けられる良い環境がないと成長に結びつかない。 地域に必要とされる環境で、フィードバックされる方もする方も成長し続けていく。 葉山内科・GIM
回診 と ベットサイドティーチング 入院患者さんの診療では、回診をしながら情報共有や診療の疑問点を抽出する。 また、若手医師にとってベットサイドで先輩から学ぶ機会でもある。 医師は自分一人で勉強していてもどこかで限界にぶつかる。 ベットサイドで他者から見たり聞いたりしながら、自然に学んでいくことが重要になってくる。 ベットサイドティーチングを兼ねた回診は若手医師にとっての貴重な機会なんです。 葉山内科・GIM
糖尿病患者に心房細動は多い? 糖尿病の患者さんからの質問で疑問に思うことがあり検索をしてみた。その質問とは <糖尿病の人って心房細動になりやすいのですか?> なんとなくあいまいに、高齢者ではそうかもね・・・なんて答えていたのだが。 論文を複数ひもといてみると、糖尿病と心房細動は完全に関連があるとはいえないようだ。糖尿病が関係する因子がとても多いから断定できないのであろう。 心房細動はあきらかに年齢とともに多くなることが知られている。有名な大規模心血管研究であるFramingham Heart Studyでも 40歳から90歳になるまでに心房細動にかかりリスクは男性26%、女性23%と報告している。ただし東アジアは欧米に比べると心房細動の発症頻度が少ないという報告もある。 さて年齢以外にとなると高血圧、心血管系疾患、中でも心筋梗塞、心不全は心房細動にリスクとなる。肥満も単独で心房細動のリスクになる。糖尿病ではそれらの併発していることも多いから、それらの関係する因子を除外してみたようだが、それででてきたものでは、糖尿病の心房細動に かかるリスクは1.4倍から1.6倍あるようである。(Cardiovasc Diag Ther 2015 Oct;5(5) 364-373) その理由ははっきりしないようだが、肥満やサイトカインなどの炎症が関係しているのかもしれないし、自律神経障害があることで最初の発症から気づくまでが遅れているかもしれないという。心房細動治療後に一度正常に戻っても再発しやすいのは、心房細動になっている期間が長いのと、もうひとつ糖尿病の存在というから、それもうなづける。そしておもしろいデータもある。BMIの高い人でも適正な体重を維持させてコントロールすることで心房細動の発生を低下させる効果があるという。(J AM Coll Cardiol 2015;65:2159-69 ) 以上から患者さんへの答えは、糖尿病だから心房細動になりやすいとはいえないものの、高齢者の糖尿病も増えているわけで、年齢というリスクにより心房細動の比率が高くなるということと、さらに糖尿病の人はただでさえ脳梗塞などの合併症は多いわけであり、おきたら予後は悪いという。糖尿病で心房細動がある人はよりしっかりと抗凝固療法を行う必要があるということである。