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掲載日付:2018.07.01

カテゴリ:[ 内科 ]

血圧が高くなる病気?!

 慢性疾患の管理や原因精査は若手医師にとってなかなか馴染みがないかもしれない。

医師の大学卒業後のトレーニングの最初には、急性期の入院診療を経験することが多い。

そういった意味では外来診療は上級編とも言えそう。



 対象患者さんの数が多いコモンな慢性疾患である高血圧についてですが、

血圧のはかり方、家庭血圧の有効性、その結果の評価など意外と若手医師も知らないことが多い。

また、若年発症、急激発症、薬が効きづらい高血圧の患者さんの中に隠れている病気があることも気に留めておく必要がある。



 血圧が高くなる病気 (二次性高血圧をきたす病気)として、



睡眠時無呼吸症候群
腎疾患
腎血管性
内分泌疾患
–原発性アルドステロン症

–甲状腺機能異常

–副甲状腺機能亢進症

–クッシング症候群

–褐色細胞腫 など

薬剤性
–非ステロイド性抗炎症薬

–甘草を含む漢方薬

–経口避妊薬 など



脳幹部血管圧迫    など があると言われています。



 若年発症、急激発症、薬が効きづらいなどの気になる高血圧患者さんでは一度精査を検討するとよいかもしれません。



 葉山内科・GIM

掲載日付:2018.07.16

カテゴリ:[ 内科 ]

若手医師のための360度評価

 医師の評価について

色々と意見があるかもしれません。



 知識や技術を研鑽し続ける姿勢も大切であるが、

先輩だけでなく後輩医師から、および多職種からの評価もとても大切である。



 若い医師にって研修中こそ

先輩、後輩医師、および多職種からの360度評価によるフィードバックを信頼関係が構築された先輩(メンター)から受けると良い。

定量評価でなく、あくまで定性評価であり各々の成長のために行う。

もともとは海外、主にアメリカで行われていた評価方法であったが、日本内科学会も専攻医登録評価システムに取り入れていく方向になってきている。



 教育環境をより良いものに向上する教育環境をより良いものに向上するために

360度評価は日本でも当たり前の文化になっていくことが期待されます。



 葉山内科・GIM

掲載日付:2018.07.28

カテゴリ:[ 内科 ]

医師の力量はプレゼンテーション?!

こんにちわ。



 夏は入院を要する救急患者さんが急性期病院に増える時期?!です。

夏の体調管理の難しさのせい?!かもしれません。

以前に偉大なる先輩が教えてくださったことを最近は実感できるようになりました。



 本日は、若手医師の患者さんに関するプレゼンテーションについてです。



「医師の力量は、プレゼンテーションである程度わかる」 ともいわれる程、大切とされている。



目の前の患者さんを医療従事者の間で確立された医療言語におとして、あたかも目の前にその患者さんがいるかのように他の医療従事者に伝える。このプレゼンテーションは、診療のあらゆる場面で必要とされます。



 しかしながら、最初はなかなか上手くできない。

プレゼンテーションはフルプレゼンテーションとショートプレゼンテーションの2種類に大きく分けられる。フルプレゼンテーションができるようになって、ショートプレゼンテーションを練習していくのが一般的かもしれません。フルプレゼンテーションにはある程度決まった順番があり、それに従って頭を整理していくと自然と患者さんの診方がマスターできるようになる。そして、何よりその患者さんの問題点の抽出が上手になる。昔ながらで古くさいと言われるかもしれないが大切。臨床に携われば携わるだけ、この教育の重要性を実感する。



 古くても良いものは良い。大切なものを後世にどうやって残していくか?

この課題に挑戦し続けていきたい。



 葉山内科・GIM





 ~以下は病院の写真です。~

① 夜のハートセンター



② ハートセンターからの夜空

掲載日付:2018.07.06

カテゴリ:[ 内科 / 血液疾患 ]

高齢者の造血機能(血液つくる能力)


高齢者になると貧血になることも多くなるといわれたが、そもそも血液作る能力はどうなのですかと貧血の患者さんから質問があった。

血液の細胞成分は骨髄で作られるがその大もとが造血幹細胞である。成人の造血幹細胞は細胞周期のG0期にほとんどがあり自己再生力があり、血液細胞を必要な状況になると(出血したり、大きな感染症になったりすると)細胞を再生する。幹細胞の数は年取ったマウスでは2倍になっているという。そのため個々の幹細胞の機能は年齢とともに様々な理由で低下してもトータルでは造血能力は保てるようにしているわけである。造血をする骨髄部分(椎体、腸骨、胸骨が多くなる)では年齢とともに造血細胞よりも脂肪成分が増えてくる(これを脂肪髄という)。造血する部分がまだらになるのである。しかし刺激がはいってくればそこで細胞増加する能力は保たれている。ただ造血細胞が分化(成長)して血液中にでていくためにはいろんな物質やその他の細胞に支えられるのであるが、そのサポートが少ないことが年老いた骨髄ではみられるそうだ。
また年齢とともに大きくかわるのがリンパ球への分化が減るということ。特にB細胞への分化が減るそうである。と同時に骨髄球(将来細菌と闘う好中球になる成分)系は年齢とともに増加するそうである。これは高齢者になると感染症に対して対応する場面が増えてそれに対応しやすくするためかもしれないという。(参考文献  Hematology in clinical pratice , fifth edition McGraw Hill )



赤血球はどうかというと、年齢とともに腎臓で産生されるエリスロポエチン(赤血球の造血を刺激するホルモン)が産生低下したり反応性が低下したりして赤血球の造血が低下する傾向はあるという。造血幹細胞の自己複製が低下するという説やアンドロゲンが減ることで造血能の低下がみられるという報告もある。(日医雑誌 第147巻 第4号 737-740)

掲載日付:2018.07.12

カテゴリ:[ 内科 / 血液疾患 ]

高齢者貧血の原因


私は血液内科で仕事をしてきたが、初診で貧血で紹介されたときに難しいのは高齢者の貧血である。その原因はあとで述べるが大きなカテゴリーで3つくらいあるのだが、高齢者の場合、一つの原因だけではないこと、また軽度の貧血の場合、たくさんの種類のんでいる薬剤が関係していることがあり、原因を確定するのが難しい。

高齢者の貧血の原因 大きくわけて3つ

(1)悪性疾患: 高齢者で鉄欠乏性貧血になっていたらまず消化器系の悪性疾患(胃癌や大腸がん)を疑って内視鏡検査をすすめる。

(2)慢性炎症、2次性貧血: 肺炎や結核などの感染症や膠原病に伴う慢性炎症、リウマチなどの関節炎、慢性腎障害などがあげられる。

(3)栄養障害 これが高齢者の中では見落とされがちである。高齢者では食事量が減ったり、また一人で食べるのは・・と意欲低下がみられたり、また歯が悪くて食事がとれなかったり、簡単にたべれるものをと栄養が偏ることでおきてくる。胃を切除していると鉄の吸収、VitB12の吸収が低下して鉄欠乏性貧血、VitB12欠乏性貧血をおこすが、両者が合併することもある。また胃切除では銅欠乏もおこしてくる。さらにピロリ菌がいると鉄欠乏性貧血になる人がいる。

(4)血液疾患としては高齢者では骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫が貧血の原因となる頻度が増える。

これらが互いに合併していて複雑なのである。そしてよくわからない、でも悪化もしないしよくもならない、原因不明・・・なんてこともよくある。経過をみることで答えがわかることもある。


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