raindrop skull 多発性骨髄腫の頭蓋骨病変
NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINEという医学会で最も有名な医学雑誌があります。医師の生涯教育も考えた教育マインドの高い雑誌です。そこにはクイズ形式で学べる画像シリーズがあり、皮膚所見やCT、MRIなどの写真など目で一発診断に近づけるもののトレーニングとして有用です。そこの2018年5月17日号にのっていた写真です。
頭蓋骨がこのように穴があいてみえるものですが、通常の患者さんよりも病変が強い画像です。これは多発性骨髄腫という血液疾患の患者さんの頭蓋骨の写真で、まるで雨の水滴がたくさん落ちているようにみえることがあるためこのように名づけられています。これまではpunched out lesion 打ち抜き像といわれてきたことが多かったと思いますし私自身はraindrop skullという言葉を使用してきませんでしたがこのようにもいうようです。
多発性骨髄腫は骨病変がしばしばでることで知られなかでも頭蓋骨に変化がでます。よって多発性骨髄腫の診断時にはかならず全身の骨の写真と頭蓋骨の写真もとります。なぜそうなるのかというと、骨髄腫の細胞がだすサイトカインにより、骨が作るよりも溶けるほう(溶骨)が盛んになります。そして溶骨することでカルシウムが溶け出し白く映る骨の部分が黒っぽくなりうち抜けてみえるのです。患者さんにここから脳みそがでてしまうのかい?と質問されたことがありますが、脳は硬膜という膜に守られていますし、骨にも骨膜というものがあるので、そんなにやすやすとは脳がでてくることはありません。
そのほかにもよくにた病変にpepper pot skull という副甲状腺機能亢進症にみられる頭蓋骨の病変もあります。