閉じる

診療科・部門案内 section

診療科・部門案内

不整脈センター

カテーテルアブレーションとは?

専用のカテーテルを太腿の付け根から血管を挿入し、異常な電気信号を発する部分を焼灼することで不整脈を根治する治療です。葉山ハートセンターの不整脈治療の中心でもあり、特に上室性頻拍についてはきわめて高い確率で根治に至っています。

対象疾患
どんな病気に対して行う手術か?
上室性頻拍
心室頻拍
その他の治療方法
同じ病気に対する、ほかの治療方法
薬物療法
除細動器

3Dマッピングの発展に伴い、精度は目覚ましく向上

過去は透視画像のみを用い、精度の高い焼灼は非常に困難でした。しかし現在は電理学生理学的検査の「3Dマッピング・システム」が大いに進歩し、きわめてリアルな映像を元に精確に焼灼すべき部位を限定することが可能になり、その精度は飛躍的に向上しています。それに伴って再発率も下がり、同時に、治療にかかる時間や透視時間も大幅に短縮されました。

腎不全・透析患者の心房細動にも

腎不全で透析を受けている場合は投薬もきわめて制限されるため、心房細動の効果的な治療は非常に難しいと、これまではそのように考えられていました。しかし、当不整脈センターには「腎不全・透析患者の心房細動に対する、カテーテルアブレーション治療」の症例があります。一般的なケースと比較するとその治療成績は落ちてしまいますが、複数回の焼灼によって、透析患者であっても心房細動の根治は十分に見込めます。

血液透析患者に対するカテーテルアブレーション治療の有用性の検討

1)葉山ハートセンター 不整脈センター:仲村 佳典、山口 善央、猪原 実、三倉 直、樋口 諭、佐竹 修太郎
2)横浜南クリニック:柴田 和彦

背景

血液透析患者は血栓塞栓症および出血のリスクが高く、ワーファリンによる抗凝固療法は出血のリスクを高める。今回、我々は血液透析患者の心房細動に対するカテーテルアブレーション治療の安全性と有用性を検討した。

方法

透析中に心房細動を生じた15人の慢性血液透析患者(発作性12人、持続性3人、平均年齢73歳、男性10人、CHADSスコア2.3±1.0)に対して、カテーテルアブレーションを施行した。アブレーション治療3ヶ月後に洞調律が維持できている場合、抗凝固療法は中止した。 もし、3ヶ月後に心房性不整脈が再発した場合は抗凝固療法を再開し、再アブレーション治療を施行した。すべての患者さんに対して透析前後に神経学的症状の検索を行った。

結果

26±13ヶ月の観察期間中、心房性不整脈は初回、2回目の手技で、11人(67%)、12人(80%)で消失し、最終手技(1.7±1.3)後にはすべての患者で消失した。消化管出血が1例でみられたが塞栓症のイベントの発生は認められなかった。

結語

血液透析患者の抗凝固療法は出血のリスクがある。カテーテルアブレーション治療は複数の手技が必要な可能性はあるが、洞調律の維持により血栓塞栓症の予防に有効であると考えられた。

心臓外科のバックアップが安全性を担保

1%ほどの低い確率ではあるものの、カテーテルアブレーション治療には焼灼による大きな出血や、心タンポナーゼといった合併症のリスクも存在します。この万が一を考慮すると、アブレーションは心臓外科のバックアップ体制が整った施設で行われることが望ましく、葉山ハートセンターは、その点においても安心して治療を受けることができます。

閉じる