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新型コロナウイルスとARB/ACE阻害剤の話

[ 新型コロナウイルス感染症 / 内科 ]  当院からのお知らせ

2020.05.08

<新型コロナウイルスとARB,ACE>

心臓血管系の疾患があると新型コロナウイルス感染の予後が悪いことはいわれている。さらに高血圧、慢性心不全に用いられている薬ACE阻害剤、ARB阻害剤が新型コロナウイルス感染に悪さをするのではないかと考える人もいて、大切な薬剤なのだが急にやめてしまう人もあらわれた。アメリカ心臓病学会などはそれは確かな証拠がないので勝手にやめないように注意を呼びかけているが、それに関して改めて中止する意味がないことがいえる研究が発表された。

 8910人の新型コロナウイルス患者に関するデータベース(アジア、欧州、北米 169病院)から調査がされた。まず心臓血管系の予後であるが、死亡した人と生存者の割合をだしてみると(1)65歳以上とそうでない人 (10%vs4.9% odds ratio1.93) (2)冠動脈疾患ありなし(10.2%vs 5.2% odds ratio2.70)(3)心不全ありなし(15.3%vs5.6% odds ratio2.48) (4)不整脈ありなし (11.5%vs5.6% odds ratio1.95)(5)COPDありなし (14.2%vs5.6% odds ratio2.96) (6)現在の喫煙 (9.4%vs5.6% odds ratio1.79)となった。

またACE阻害剤、ARB阻害剤はその使用により死亡率が上昇するということは認められなかった。

 そもそもACE・ARB阻害剤と新型コロナウイルス感染症とはどのような関係があるのであろうか。新型コロナウイルスが宿主細胞にはいるときにはACE2という細胞表面のレセプターを介して侵入する。このレセプターは心臓、腸管、腎臓、肺胞細胞に有意に存在する。ACE・ARB阻害剤はACE2を上昇させ新型コロナウイルス感染症を重症化させてしまうのではないかという考えがうまれてきた。しかし動物実験でも感染しやすいというデータはでていない。

このACE2は新型コロナウイルス感染症の治療ターゲットとして注目されている。コロナウイルスが感染して細胞膜と融合するのを阻止する薬剤としてナファモスタット(すでに膵炎の薬剤として国内にある)が膜融合を効率よく抑制すると考えられ研究がすすめられている。

参考文献: NEJM MAY1.2020

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