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システマティックレビュー&メタアナリシスについて
システマティックレビュー&メタアナリシスについてです。
エビデンスとしてのヒエラルキーが高いとされ、引用されやすい学術論文のタイプと知られている。
しかしながら、実際に論文の内容するのは容易ではない。
「なんとなくすごそう。しかし、読んで内容理解するのは難しい。」そんな感覚でしょうか?!
良いところ
・エビデンスとしてのヒエラルキーが高い
・臨床医の勉強になる。 ・・・’’ 診療の疑問を体系的に調べてまとめる訓練になる。’’
・研究するのにお金がかからない
システマティックレビューは論文をもれなく検索することであり、メタアナリシスはその集めたものを統合して解析すること。この両方が大切となる。
メタアナリシスでは、その集めた論文を効果量(リスク差 Risk Difference、リスク比 Risk Ratio、オッズ比 Odds Ratioなど)を抽出し、それぞれの研究論文のサンプルサイズに合わせて重み付けすることが最大の特徴となる。
メタアナリシスで効果量の重み付けした平均を求めて、結果が完成したとする。ところが、それが本当に意味があるものかどうかが大切となる。異質性 Heterogeneityという単語がキーワードとなります。複数の研究論文がある場合、結論が一致しないものがでてくるという意味です。
個々の研究の質が低い
偶然の影響で結果が出てしまった
研究デザインや対象が異なる。
などが原因となります。
この異質性を検討するのがCochran’s Qとなります。Q値が大きければ異質、Q値が低ければ同質となります。しかし、この値の程度が相関関係にないためI2を用いることが勧められている。
I2が25%以下であれば異質性はない。75%以上であれば異質性が非常に強いとなります。
異質性が強い場合院は意味があるかどうかの解釈に注意が必要なことがあります。
研究論文の中で同じような群をまとめてサブグループをつくる。その群だけでメタアナリシスを行う。
これをサブグループ分析と呼びます。そのようにして工夫したりします。ただし、サブグループではバイアスが入る可能性が高いことに留意して解釈が必要です。
最後に、メタアナリシスのバイアスについてです。
それぞれの研究の質が低いこと
出版バイアス
選択バイアス
になります。
1番目の質の低い論文がある場合には、のぞいてメタアナリシスを再考してみて結果が変わるか検討をして結果の妥当性を検討します。質の低い論文かどうかはJadad score(ランダム化の有無、盲検化の有無、追跡率について)な度を用いて検討します。
2番目の出版バイアスについては、Funnel plotを作成して、三角形が左右対称になっているかを視覚的に評価することがあります。しかし、研究論文の数が少ない場合にはうまくFunnel plotで解釈が難しいことがあります。ですので、統計学的にRank correlation testやLinear regression testで判定したりします。
3番目の選択バイアスは、研究論文を集める過程での何らかの恣意が加わることです。複数の研究者で独立で文献検索をすることが防ぐことができます。
システマティックレビュー&メタアナリシスは統計学的に難しいこと、臨床的に意味のある論文を集めているかどうかの吟味が難しいと感じるかもしれません。しかし、上記のことに留意して読むと理解が深まっていきます。
参考図書: はじめてのメタアナリシス(野口善令)
葉山内科・GIM
~以下、病院からの写真です。~