-->

掲載日付:2018.09.02

カテゴリ:[ 内科 / 医療情報  / 循環器 ]

左心系の心内膜炎の抗生剤投与が途中から内服薬にできるか?


心内膜炎は歯の治療後などにおきた菌血症が原因で心臓の弁に菌塊が付着しておきる感染症である。決してまれではなく発熱の鑑別診断として常に考える疾患であり、弁が破壊されて心不全兆候が強くなったり、菌が全身にとんで全身症状をきたしたり、あるいは塞栓(臓器につまる)症状をおこしたりする。脳梗塞、腎梗塞、脾臓の梗塞などをきたすこともある。心臓外科的な手術を要することも多い。
さてこのような重篤な疾患の治療の主体は抗生剤である。左心系におきたときには、通常6週間の抗生剤を点滴で行うとされるため入院期間が長くなる。重篤な時期は最初の時期が中心で、安定してくれば元気なのだが抗生剤の点滴というのがネックになり長期入院して精神面、体力面の低下がおきる。これを途中から内服にできないかという研究をした論文が発表されて話題になった。
 左心系心内膜炎の患者さん400人を対象に、199人は6週間の静脈注射で、201人は最初に静脈注射で(少なくとも10日以上)はじめてその後内服治療へと変更する群にわけた。内服で安定していたら外来通院とした。それらの人が全死亡、予定外の心臓手術、塞栓症、菌血症の再燃がどうなるかを6か月後まで評価した。そうしたところ、それらがおきた例は静脈注射群で12.1%、内服群で9%で、心臓手術も増えなければ塞栓症も菌血症再燃にも差がなかった。以上から標準的な6週間の点滴抗生剤治療から一部の人では経口に切り替えても効果に遜色がないという結果となった。これを実行するためには、自宅で自己管理ができる人、こまめな外来指導が欠かせないと思う。しかししっかりできれば入院費用が減って、また筋力低下など活動性の低下が外来となれば防止できたり仕事にも復帰しやすいなど患者さんにはメリットがある。

(NEJM August 28, 2018 )

掲載日付:2018.09.08

カテゴリ:[ 内科 / 医療情報  / 循環器 ]

糖尿病の人にアスピリンをのむと初発の心筋梗塞や脳卒中は予防できるのか?


糖尿病の人では心筋梗塞や脳卒中のリスクは2-3倍高いとされている。そして狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を一度おこした人は次におこさないようにするためにアスピリンを内服する(2次予防)ことは行われている。それでは、糖尿病の人で今までそのようなことを起こしていない人に対して前もってのんでおくことは有用かということをみるために大規模な研究が行われその結果が発表された。対象は40歳以上の糖尿病でこれまで心臓血管系の病気のない人をアスピリンを1日100㎎飲む群 7740人とのまない群7740人に割り付け、平均7.4年間観察。心臓血管系のイベント(心筋梗塞、脳卒中、TIA,心血管死)はアスピリン群8.5%, のまない群は9.6%でおきた。RR=0.88 P=0.01でアスピリンはそれらの発生を抑制させていた。しかしアスピリンは血小板機能を抑制し出血リスクがある。その出血として大出血(頭蓋内出血、失明の恐れのある眼の出血、重篤な消化管出血など)を比較するとアスピリン群では4.1%,のまない群では3.2%で、アスピリン群が多かった。その内訳として消化管出血41.1%, 頭蓋内出血が17.2%であった。以上から心血管系のイベントを抑制する効果はあっても出血のリスクによりその利益が打ち消されてしまう結果となったと述べている。
つまり糖尿病にとって心臓血管系の疾患は予後や活動性に影響を与える重要な合併症であるが、それらを予防する効果はアスピリンにはあるが、出血しやすさには注意が必要で、全体としてそれらの疾患をもっていない糖尿病の人には利益があるとはいえないということです。(NEJM August 26, 2018)

掲載日付:2018.09.10

カテゴリ:[ 葉山情報 ]

葉山からみる相模湾に大きな虹がかかりました。


この日9月10日 朝7時くらいから8時くらいまで  葉山ハートセンターの目の前に広がる相模湾に大きく虹がかかりました。そしてそれがよくみると2重にかかっていました。おもわずカメラを取り出して、私もスタッフも患者さんも、すぐに消えてしあうその姿をカメラに収めました。虹ってなかなか大きくとれないですからね。海にかかる半円の虹をみたのは初めてでした。

掲載日付:2018.09.14

カテゴリ:[ 葉山ハートリバイバル / 病院行事 報告 / 院長個人 / 地域医療 ]

秋谷潮かぜ診療所の先生がたと懇親会


秋谷潮かぜ診療所は訪問診療を中心に行っている診療所で、かつ地域の医療スタッフに対して開かれた勉強会を長年続けている、地域医療では有名な診療所が、当院から車で5分もしないところにあります。そこの勉強会には当院も看護部が参加していますし、患者さんの退院後の在宅診療でもお世話になっています。最初に赴任した折にご挨拶させていただいたのと、地域連携の会にて立ち話をさせていただいたくらいで、あまりゆっくりお話しをしたことがなかったのですが、この日は食事も交えながらたくさん話をさせていただきました。国も、その施策に従う地域も、在宅診療をますます重視していくことは必須です。質の高い医療は医師だけではできないからこそ、そのレベルをあげるため、そして顔合わせ、情報交換も含めて勉強会を続けている、その続けるのは並大抵ではありません。また在宅診療を行ううえでは後方支援病院は大切であり、その一役を当院も担いながら地域医療に貢献していきたいと思います。在宅がいい人もいれば病院が日いい人もいます。そのメリット、デメリットをみなさんよく知っているでしょうか。その公開討論会を12月に開催しようと話し合いで決めました。また詳細が決まりましたらここでもお知らせします。とても有意義な会でした。

掲載日付:2018.09.18

カテゴリ:[ 内科 / 医療情報  ]

健康な高齢者がアスピリンをのんだら長生きするのか?


糖尿病の人に対するアスピリンの心血管系イベント1次予防効果の大規模研究結果が先日だされたことを報告したが、今度は、健康な高齢者を対象にして、アスピリンをのんだら血管系の合併症がおきなくて長生きするのかどうかをみるこれまた大規模な研究結果が発表されましたので紹介します。
 70歳以上(アメリカの黒人とヒスパニックでは65歳以上)で心臓血管系の病気(心筋梗塞、狭心症、脳卒中など)がなく認知症もなく麻痺などのないかたを対象に、1日100mgのアスピリンを飲む群とのまない群とにわけて心臓血管系のイベントがどうなるのか、全死亡率がどうなるのか、認知症や麻痺などの活動性低下などがどうなるのかを観察期間平均4.7年で19114人が参加して調べられた。
 結果はまず心血管の病気発生は、アスピリン群では1年で1000人あたり10.7件に対してのまない群では11.3件、(hazard raio 0.95 95%CI 0.83-1.08 ) 逆に出血はアスピリン群では1年1000人あたり8.6件に対して飲まない群では6.2件(hazard ratio 1.38 95%CI 1.18-1.62 P<0.001)となり、心臓血管系のリスクは減らさずに合併症の危険のほうが高まるという結果となりました。
 また死亡や認知症あるいは麻痺などの身体機能低下になる率も、1年1000人あたりアスピリン群21.5件、飲まない群21.2件と差がなく、また全死亡率についても1年1000人あたりアスピリン群12.7件、飲まない群11.1人となりむしろアスピリン群のほうが高くなりました。これにはがんに関係する死亡が多かったとなっていますが結果には観察期間が短いこともあり注意が必要であると述べています。

ということで元気な血管系の疾患のない高齢者にただアスピリンをのませても心臓血管系の合併症を減らす効果もなく生存率にもよい影響は与えず、出血のリスクが高まるだけであることがわかりました。(NEJM Sep16,2018 ) ただなんとなくアスピリンがのまれている患者さんをみかけることがあります。本当に意味があってアスピリンを投薬されているのか、これは出血のリスクにもつながるわけで投与を確認する必要があります。


menu close

スマートフォン用メニュー