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掲載日付:2018.05.05

カテゴリ:[ 院長個人 / 読書 / 心の言葉 ]

西村元一先生著 ”余命半年 僕はこうして乗り越えた” を読んで


西村元一先生という消化器外科で大腸がんの専門家でもあった現役医師が、下血で発症、進行胃がん 肝臓転移あり余命半年と診断され、その後の体験談を書いた本を紹介されて読みました。どこにでもある体験本なのかと思い手にしてからしばらく置いておいた本でした。しかし気になって一気に読みました。
自分が医師としてがん患者さんを治療してきた立場も熟知し、さらに逆の患者の立場に50歳台という若い現役バリバリの中で発症、しかも予後の悪い患者の立場をそのまま経験された稀有な症例としての体験談でした。私も血液関連の患者さんをたくさん診療させていただいてきましたが、患者の気持ちに共感はするように心がけてきたつもりでも本当は理解できていないのだろうと思ってきました。西村先生もやはりそうだったと書いておられます。書かれていた言葉で私が線をひいて心にとめようと思ったものをご紹介します。

(1) 患者は告知を受けた日から生活が一変するということ、そして死を意識するということ、終わりというものを意識するということ。
(2)いずれあとで・・・がなくなる。前倒しに考えていかねばならなくなる。
(3)治療をうけている人にとってはすべてにおいて治療が優先。患者に土日など休みなどない。
(4)患者の気持ちは日々変化する。チョッとしたことで一喜一憂。一番の手立ては悪いニュースをよいニュースで打ち消していくこと。良いニュースの法を少しだけ多くすることができれば気分が少しでもはれる。
(5)人間がんを抱えるといろんなふりをする。いい患者のふり、わかっているつもり、来年もあるさというふり、悲しんでいないというふり・・・

私は自分が今まだがんを抱えている側ではなく治療を提供する側にありますが、その中でも希望を与えるためにうそではなく(4)のように少しでもいい話をしてあげて不安をとれるようにすることを実践していきたいと思います。

掲載日付:2018.05.17

カテゴリ:[ 内科 / 医療情報  ]

麻疹の流行の話

今年3月に台湾人から沖縄に持ち込まれた麻疹。その後そこから2次感染、3次感染と広がり、今週4次感染が確認されたと報道された。
実ははやくも10年以上経過したのだが、2006年から2008年にかけて日本でも麻疹の流行があり、2008年には1万人の患者がでた。当時は10-20代が多く、学校が休学になったりした。またカナダに海外旅行にいった日本の学生がそこで麻疹を発症しホテルに足止めされたり、またアメリカのリトルリーグ世界大会に出場した日本人選手が麻疹を発症した問題もあり、日本は麻疹出国だという汚名をきせられていた。その後対策によりしばらく数は減少していた。
今回も20-40歳の若い人が感染している。当時はワクチンが1回投与であったためでは内科と考えられている。今は1歳までと小学校前の1年間の2回です。
麻疹は潜伏期間が10-12日 海外からもちこんでもはじめは気づかないことがあります。海外ではインド、パキスタン、中国、フィリピン、インドネシアなどで感染が多く報告されています。免疫をもっていなければ90%は発症するとされ、不顕性感染という症状のでない人は少ないのです。感染力はインフルエンザよりも非常に強く、狭い空間に感染した人がいるとインフルエンザの10倍もの感染力があるとされます。
症状は最初、発熱や咳とともに38度前後の発熱が2-4日続き、倦怠感、上気道炎、結膜炎がでます。口腔内にはコプリック斑という特徴的な白い斑点がでたりします。これをカタル期といい、その後一度は体温が少しさがるのですが、再び半日ほどして今度は39度以上の高熱とともに発疹がでます。耳のうしろ、頸部からはじまり顔面、体、腕と広がります。これが3-4日続いて解熱とともに発疹が色素沈着となっていきます。学校へは解熱後3日経過してから登校できます。一部の人が重症化します。高齢者、糖尿病、妊婦さん、免疫を低下させる治療をうけている人では注意が必要です。肺炎、脳炎は死亡の原因となりえます。発疹後に意識障害がでるようであれば脳炎を疑い、髄液検査、画像検査が必要です。また麻疹の経過中に半数以上に心電図異常がみられるという報告がありますが、心不全になることはまれです。
子供のころかかったといっても本当に麻疹だったかどうか不明なこともあります。また免疫を強く抑制する治療をしている人では抗体値がさがっていることもあります。医療機関では調べることができますが、今はそのようなかたが多くなり採血結果がでるまでに少し時間がかかるようになっています。当院でも測定をおこなっています。また医療関係者や空港など多数の人が行き来する場所で働く人はワクチンをうつことが推奨されています。(厚労省)当院では入職時に麻疹の抗体価を測定しています。

掲載日付:2018.05.17

カテゴリ:[ 内科 / 葉山情報 / 葉山ハートリバイバル / 院長個人 ]

葉山町町内会の会合にてお話しさせていただきました。


葉山町の各町内会の代表のかたが集まる会の中で、お話しさせていただく時間をいただきました。私が院長になって早くも1年がたとうとしています。それでもなかなか改革の内容を人々に伝えることは簡単ではないことを身をもって感じています。そこで今年はなんとか町内会関連、自治会に入っていこうと目標をたてて活動しています。循環器と内科系と2輪の輪をまわしていくこと、1次救急を根付かせかつ維持すること、そこからの入院受け入れを発展させていくことです。もう全国から患者がくるそういう病院ではなくなったということですかとのご意見もいただきました。胸が痛くなる思いでしたが、町の人々にとっては誇りある病院だったのだと改めて思いました。そのためにもなくしてはいけない、世界一とはいえなくても違う形で医療インフラとしてこの地域に必要とされる病院として成功させたいと思います。

掲載日付:2018.05.18

カテゴリ:[ 内科 / 医療情報  / 院長個人 ]

逗葉内科医会 講演会 内科医としてしっておきたいリウマチ疾患に参加


逗葉内科医会では月に1回実地診療に実用性の高い講演会をおこなってくれていて参加するようにしている。今月の講演会は日本医大の岳野光洋先生が<内科医として知っておきたいリウマチ疾患>と題して1時間にわたり講義をしてくださった。リウマチ診療でこの10年で変わってきたことというのは、診断基準が2010年に新しくなりそれにより早期診断ができるようになったこと、また治療効果判定がDAS28などを用いるとともにレントゲン、MRI,関節エコーなど複数の指標を用いて行うようになったこと、これも薬剤が進歩したため細かく評価するようになったのだそうである。またこれまでは進行させないようにというのが治療目標だったのが、寛解(病勢が安定しているということ)という血液疾患でも使う指標が使用されるようになりめざすは機能的寛解、さらには無治療寛解(つまり治癒ということ)をめざしているようです。ここは最近治療成績がよくなった血液疾患と似ています。また治療コストが高いのでコスト意識を持つようになったといいます。とはいえ、レントゲンでみると発症して2年以内に急速に関節破壊が進むようで、治療が遅れると元には戻らないことから、関節破壊がおきるよりも前に早く治療介入することが必要だそうです。ですがリウマチ診断は除外診断でもありその他の膠原病関連や関節にくる病気を除外するkとが大切で、それがリウマチ医でも難しいのだそうです。リウマチ因子という採血項目がありますが、これは全人口の5%で陽性となりつまり疾患がなくても陽性となりえます。また年齢が高くなるとともに上がります。ドックで採血したりしていますが、陽性でも症状がなければリウマチの診断にはなりません。陽性の人で10年後にリウマチになる率は7.9%だそうです。(それほど高くありません。)またシェーグレン症候群という口渇は目の渇きがある疾患の人は90%でリウマチ因子が陽性となります。またウイルス疾患なかでもパルボB19による関節炎はリウマチ因子陽性となります。その他乾癬、膠原病関連の関節炎でも陽性となります。
高齢者のリウマチの特徴も紹介していただきました。急性発症が多いこと、肩や股関節、ひざ関節など大関節に多く、リウマチ因子陰性が40%もあること、全身消耗性であったり、また典型的でなくて診断が難しいそうです。あとPMRといわれるリウマチ性多発筋痛症という疾患にも高齢者ではしばしば遭遇します。肩や腰がかなり痛む疾患で70歳にピークがありますが、筋肉も痛むような感じがしてもCKなどの筋肉関連酵素は上昇せず、また巨細胞性動脈炎の併発があり視力が問題となることがあります。これはステロイドが非常によくきく疾患です。私も今外来でみさせていただているかたがおります。
以上とても有用な勉強会でした。

掲載日付:2018.05.20

カテゴリ:[ 院長個人 / 血液疾患 ]

再生不良性貧血の症例検討会に参加 in 東京


久々に血液の勉強会にでかけた。血液疾患である再生不良性貧血は、汎血球減少症が進行し輸血依存になる疾患。標準的な治療は確立されていて中等症、重症型は40歳以下で兄弟にHLAの型がある人がいなければ免疫抑制療法が行われる。使用薬剤はシクロスポリンと抗胸腺グロブリン(ATG)にステロイドが短期間入るが、奏効率は60-70%前後。輸血依存から離れられない人、薬剤を減量すると再燃してしまう人もいる。そのような中で昨年からレボレードというトロンボポエチン受容体作動薬が再生不良性貧血に使用できるようになった。この薬剤はこれまで血小板減少症に対して使用されてきたが、再生不良性貧血に対する臨床試験で、なんと血小板以外の血球も改善することがわかった。レボレードをこれまでの治療に組み入れると奏功率(効果がでる率)は80%を超えるということで驚異的なデータがでており治療は期待されている。ただ再生不良性貧血に用いたときに、異常な染色体異常がでてくる率は20%弱あるというのである。よって治療前には骨髄検査での染色体異常を確かめておく必要があるし、また途中でもWT1などの検査をしながらフォローアップするのが必要である。


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