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CHIPとは? 第3話 動脈硬化性心疾患との関連

[ 医療情報  / 血液疾患 ]  当院からのお知らせ

2018.08.03

CHIPという、骨髄異形成症候群ににた遺伝子異常をもつ細胞は増えているのに血液は正常という状態の人は、将来的に血液の腫瘍(例えば白血病など)になる率が高いのは前回述べました。でもさらにおもしろいことは、このCHIPが動脈硬化に伴う心血管系の病気の比率も2倍程度と多いことが研究でわかってきました。これは驚きです。

昨年発表された研究はとても大がかりなもので、4726人の冠動脈疾患のある人と、対象となる3529人のサンプルを遺伝子解析してCHIPと冠動脈疾患の関係をみたもの。ここでだされた結論はCHIPにあてはまる人は冠動脈疾患となるリスクが約2倍あること、早期心筋梗塞となるリスクは4倍、いずれの遺伝子変異(DNMT3A, TET2, ASXL1, and JAK2 )も冠動脈疾患のリスクをあげるということです。また疾患だけでなく、冠動脈の石灰化を起こすこともわかってきました。マウスの実験ではTET2の遺伝子をノックアウト(なくしてしまう)と(つまり人工的に異常をおこした)、大動脈に石灰化を起こすことが証明されました。そしてその変異の細胞の量が多いほど、動脈硬化性疾患のリスクは高くなるそうです。
ではなぜ遺伝子変異が動脈硬化や石灰化と関係するのでしょうか?
それにはマクロファージが関係するということです。マクロファージは炎症に関係する細胞です。TET2遺伝子が欠損するとマクロファージによる炎症が進展しそれが動脈硬化をもたらすことが動物実験で確認されています。つまり遺伝子異常によりマクロファージを介して血管での炎症が活発化して動脈硬化が進行し血管性の病気がおきるというわけです。
両者(CHIPも冠動脈疾患も)とも老化とともに頻度のあがるものです。血液細胞の老化が血管の老化にも結び付くというわけでとてもおもしろいと思います。動脈硬化を治すのは難しいけれど、この炎症を抑えることが細胞治療としてできたら面白いと思いました。(参考文献 N Engl J Med 2017; 377:111-121)

 

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